2005/12/11
小説執筆に必要な知識(2)
CM運営チームの秋人です。
前回は、風景描写についてあれこれ書きました。分かり辛かったので、前回のおさらいをしましょう。
- 風景描写には、ただあるがままに書く背景描写、誰かの心情が反映された情景描写がある。
- これらを上手く書くためには、映像製作の知識が役に立つ。
さて、これを踏まえたうえで今回は人物描写について触れたいと思います。
人物を描写する時に、まず考えなければならないこと。それは、どこまでその人物を読者に植え付けるか? ということです。
具体的に言えば、髪型、体型 (身長体重) 、服装、装飾品、誰かから見た印象… などがそれに当たります。勿論、 書き込めば書き込むほど、読者は人物を想像出来るでしょう。しかしあまりに多い人物描写は、 頭の中で映像化される段階で人物像の組み立て工数が大きくなりすぎてしまい、 かえって人物そのものがぼやけてしまうことが多いです。
人物描写を行う上でもっとも重要な事は、人物の何をはっきりさせ、 どの部分を明確に切り捨てるか。この一点に尽きます。
例えば、アクションシーン等では人物の動きや、殺陣ならばその流れなどを書かなければならないでしょう。そこで、
それこそジャラジャラとゆれるネックレスについて熱心に書く必要はありません。
もっとも、ネックレスがどうにかなってしまうことで、物語が進むならそれでもいいのですが。
さて、何を前面に出し、何を控えておくか。
読書以外に学び知識をつけるとすれば。絵画や演劇の演出などが良いでしょう。
絵画と言っても漫画やイラストから学び取れるものは、やや極端なものになってしまう可能性もあります。
また、心理学における認知に関する記述や、色相学もまた有用です。
また、巷に溢れるコミュニケーション関連のノウハウもまた役立つでしょう。
人物描写に役立つであろう知識の、一例を示します。
(例)
人は相手と喋っているとき、実は相手の話を三割程度しか理解していませんし、また文章を読む人間にしても、
その内容の五割程度しか正しくあるがままに読んでいません。現に接続詞 (~て/~に/~を/~は)
を実際の文章とは違うように読み違えるのがその良い例です。
この例を参照しただけでも、貴方が書く人物描写は劇的な変化をもたらすでしょう。ですが、 先に挙げたものについて深い理解を得ることで、より人物描写は貴方の望むものに変わってゆくはずです。
今回は、ここまでです。次回三回目は、直接は描写と結びつかない知識にて必要と思われるものについてお話します。
(筆者からのお題)
今回あった知識の一例を意識して、2000字以内 (原稿用紙五枚) で掌編を書いてみましょう。
今回は先にあったような風景描写は気にせずに、人物描写を意識して掌編を書き上げてみてください。書き終わった後に、
実際に声に出して読んで見ましょう。
今まで書いていた作品と比べて、貴方の書く登場人物は、目に見えて生き生き (よくその姿が見て取れたり、
伝えたい部分が確実に伝わっている) としているように感じましたか?
また、できれば今までどおりの書き方で、全く同じ内容の掌編も書いて、二つの作品を比較してみましょう。何が違うでしょうか?
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