2005/12/08
小説執筆に必要な知識(1)
CM運営チームの秋人です。
昨今、Webでは絵や小説を書く人が増えました。中には、 漫画と文章を一緒に書いている人やゲームのファン小説を書いている人も多いようです。
そんな中、度々耳にするのが 「物を書く作法や必要な知識は何か?」 と言う問いかけです。私自身は、運営する 創作休憩所 にて次のように書いています。
" 小説を書くにあたって必要になるのは、
いわゆる 「読書感想文を書く程度の作文を各能力」 と義務教育レベルの漢字を正しく使えること、
そして意味が通じる程度の文章が書ければ何の問題もありません。
但し、多くの語彙を身に付けたいのであれば幅広いジャンルの本を読み、意味の分からない単語については辞書で調べましょう。
もっとも必要な知識と姿勢はこの程度です。 "
しかし、実際に語彙を身につけたり、自身の執筆にアイディアを反映させるためには、 他の知識も必要になります。では、例えばどのような知識が必要なのかを本日から四回に分けて解説していきたいと思います。
第一回目の今日は、背景描写と情景描写についてお話します。
もっとも、この記事ではいわゆる創作作法について正確な記述を示唆するものでもありません。ですので、
記事の正確性については全く保証しませんのであしからず。
小説では、人物や動物などがいる場所。
またその周辺に何があるかと言った描写が必ずと言っていいほどあります。これを風景描写といいます。書き手として一番意識すべきことは、
何の文章でも絵画でも共通しているとは思いますが、読み手がどう受け取るかそれが重要です。
特に小説については、読み手の頭の中にどんな映像を作るせるか。
これに掛かっています。読み手は当然、書き手が思い描いているものと多少は違うものを想像しながら読むでしょう。しかし、
書き手は常に読み手が、文章を映像化する手がかりを与え続けなければなりません。
そこで一番大切なのが、風景描写(注1)
をいかに適切に書くか。これに掛かっています。
では、風景描写(注1)
をどうやってその物語に則した形で書いて行くか?
それは、ただ見たままの風景や光景を書く場合と、作中人物の視点から見た風景や光景を書く場合に分かれます。
前者を背景描写、後者を情景描写(注2)といいます。
背景描写は、 誰かの視点で書かれるものではありません。あくまでそこに木があればどんな木か? 例えば単に、 『杉の木』 などと書きます。 これには主人公や人物の視点に被さらないものです。つまり、誰の視点で見たとしても、この場合は 『杉の木』 と書かれるものです。
情景描写(注2)は、一方で誰かの視点に誰かの感想や所感が混じった風景描写になります。先ほど例に挙げた 『杉の木』 であれば、 『少々頼りない感じがする杉の木』 と言ったものになります。このような描写を行う場合は、 誰がその風景を見てどういう印象をそのものと共に覚えたかで文章が変わります。例えば、Aと言う人にとって 『少々頼りない感じのする杉の木』 だとしても、それがBと言う人から見れば 『まだ若い杉の木』 などと言う風に見え、 視点次第で表現も変わります。
これらを旨く使い分ける為、必要な知識として、映像制作についての知識があると良いでしょう。つまり、今書いている文章をそのまま映像化した場合。 誰から見た風景があって、その人はどういう気持ちや思いでこの風景を見ている……
映像制作の基本を学ぶことで、執筆した文章に厚みが増すでしょう。 また背景描写と風景描写を使い分けることで、読者を作品世界に効果的にひきずりこむことが可能です。
(筆者注)
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辞書的には風景は、見たままの景色や、情景を含むものである。本稿における背景描写とは、 見たままの景色をあらわす描写としているが、『背景』 本来の意味としては相違している部分もある。背景の辞書的意味としては、 舞台における書き割りなどを表す。
本稿では、背景描写は見たままの景色などを表す描写と解説したので、趣旨としては間違っていまいと考え記述した。
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辞書的に情景とは、
心にある感じを起こさせる光景や場面のこと。本稿では、 人物などから見た風景描写を便宜的に情景描写としている。
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