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小説執筆に必要な知識(4)

 CM運営チームの秋人です。
 最終回を除けば、今回が最後となる第四回は、応用の利く知識とは何かを中心にお話しようと思います。

 前回は、基礎知識とは何かについてお話しました。前回挙げた知識の比較についてはむしろ応用的な部分があり、 本質的には知識の応用方法として考えることもできました。ですが、本稿ではあくまで小説執筆時に必要な知識の基礎的な使い方として、 解説しました。
 今回は、逆に広く応用できる知識とは? をポイントに話を進めていきます。

 さて、応用の利く知識を考える場合。なるべく、広く共通するものであることが望ましいです。なぜならば、 たった一作品にしか使えない知識が後々生かされることは一般的に少なく、日常から遠のいた知識であればあるほど、 再利用が難しくなっていきます。
 つまり応用の利く知識とは、 広く再利用が可能な知識であると言うことになります。
 例えば日本の六法であったり、各国の気候や人口或いは主な宗教、 更には政治形態などが考えられるでしょう。また、世界史や美術史、 民族音楽や音楽史。大学受験や就職試験には関係の浅いこれらの幅広い知識を習得することで、作品にリアリティが生まれます。 また、 「知識」 と分類することの出来るものを多く習得することは、プラスにはなりますが決してマイナスにはなりません。 より多くの知識を偏りなく学び取ることで、それぞれの知識を関連付けする… 。  それが出来て初めて、応用できる知識を身に着けたと言えるでしょう。

 応用の利く知識を、今回は " 広く共通する知識 " と論じた本稿ではありますが。実はこれこそが基礎的な知識と取ることもできます。しかし、 無意識の内に理解しているつもりの知識を身につける事でそれを応用し、 執筆ジャンルに反映させることが出来れば何倍も物語は生き生きと輝きを放つでしょう。

 ここまで執筆に必要な知識について、個々にお話しました。
 次回最終回は、今までの四回をまとめ締めくくりたいと思います。長い文章おつきあいありがとうございます。

(筆者からのお題)
 今の貴方に必要な知識とはなんでしょうか? 一歩下がり自分自身に不足なもの、或いはもう十分な知識とは何かなどを考えて見ましょう。

 

創作される女性像4 まとめ

CM運営チームの近藤です

さて数日に渡り「創作される女性像」について考察してきました今回はその纏めをしようと思います。

 さて「創作される女性像」=「理想の女性像」と取った場合それは地域や世相により変化することがわかりました。
 例えば日本ではしなやかな女性が受け入れられやすいのに対しアメリカではタフな女性が好まれる傾向にあります。 また人類の創世記などでは太った女性が好まれているのに対し現在ではスレンダーな体形が好まれます。
 上記のように同じ時代でも地域が変化すれば理想形が変化し、同じ地域でも時代が変化すれば理想形が変化します。

 これが示唆していることは”美や理想”というものは必ずしも単一で絶対性のあるものではなく、 常に流動する雲のように不確かで不明瞭なものではないのではないでしょうか、それゆえに人々はこれを追い続けるのかもしれません。

さて次回から数回は充電も含め頭の悪い内容を書こうと思います。

小説執筆に必要な知識(3)

 CM運営チームの秋人です。
 第三回目となる本稿ですが、今回と次回、最終回に掛けては描写テクニックにまつわる知識ではなく、実際に執筆に必要になるであろう基礎知識応用の利く知識とはなんなのか? と言う点に絞ってお話しようと思います。

 つまらない話ばかりになりますが、よろしくお願いしますね?

 今回は何を基礎知識とするかについてお話しましょう。

 まず、基礎知識としては本稿第一回でも触れましたが、義務教育課程までの国語であることは言うまでもありません。しかし、 そのほかにも知らなければならないことがあります。

 それは、貴方が書くジャンルに関する知識。 そしてそのジャンルの対極の位置を占める側の知識です。 なぜそれを知らなければならないのでしょうか。例を挙げて説明します。

 仮に貴方が書くジャンルが剣と魔法のファンタジーだとしましょう。 ありがちなストーリーをつけるのであれば、現代世界の住人である主人公が、 中世風の異世界に迷い込む… なんて筋書きがあってもいいかも知れませんね。
 さて、この世界で主人公は当然、 現代と異世界との文化差に驚きや戸惑いを覚えることでしょう。そして、同時に異世界の住人達も主人公に対して違和感を覚えるに違いありません。
 ですが、書き手が異世界の住人の覚える違和感や、主人公が覚える戸惑いを書くかについては中世欧州の知識と、現代先進国の文化・風習を比較し、どこに違和感を覚え、 どこに戸惑いを覚えるかを考える必要があります
 なぜ、相対する二つの知識が必要なのか。それは、どちらの世界や意識に視点を当てるにせよ、 絶えず相対する二つの概念は比較されてしまうからです。また、それらをより深く理解することで、自らの思い込みを是正することが出来ます

 例えば、中世欧州について深く知識を得たならば、比較される現代社会や、 或いは同時期に中東で盛んだったイスラームの文化にも目を向け、精度の高い知識を吸収することが要求されます。
 また、現代精密機械工学や、ITに代表される電子産業分野について深い知識を得たならば、 エジプトにあったといわれる聖水販売機や活版印刷、或いは錬金術や初期の基礎科学についての知識を吸収すれば、 現代にいたる発想への要素を見出すことも出来るでしょう。

 適当な言葉ではありませんが、温故知新と言う言葉もあります。
 物書きには、広く浅く、そして浅いながらも間違いの少ない知識が度々求められます。それを確実に学び、自分の作品にフィードバックする際にもっとも基礎的な文章力が始めて正しく求められるのです。

 いよいよ、あと二回になってしまいますが最後までおつきあいくださいませ。

 

(筆者からのお題)
 貴方が専門としているジャンルと正反対の知識を総動員して2000字 (400字詰め原稿用紙5枚程度) の掌編を書いてみましょう。 なるべくなら、下調べもしないまま書いてみましょう。書き終わったら、使った知識が正しいものか、 或いは足りなかったところは何か調べてみましょう。

創作される女性像3 時代も変われば理想が違う

運営チームの近藤です

 数日サボってましたすんません。
 さて前回は日米モエっ娘比較を行い、前述の通り明確な違いが出ました。今回は時間の変化による比較を行ってみようと思います。

 時はさかのぼって人類の創世記、発掘される女性型土偶は太っちょなのが多いです、 また平安京時代の絵巻物に出てくる美男美女は切れ目の下膨れです。これらの示すところとしては時代により理想形が違うと言うことです。
でもなぜ丸々とした体形が好まれていたのでしょうか?
 これは個人的な考えなのですが、美しさや理想体というものは”維持しにくい貴重な状態”のことを指していると思うんです。 それを当てはめると平安京美人や縄文美人は食料の少ない時代にはあのようにふくよかな体格をした人ほど珍しく維持しにくい為人々の羨望の的だったのではないか? と考えています。

小説執筆に必要な知識(2)

 CM運営チームの秋人です。
 前回は、風景描写についてあれこれ書きました。分かり辛かったので、前回のおさらいをしましょう。

  1. 風景描写には、ただあるがままに書く背景描写誰かの心情が反映された情景描写がある。
  2. これらを上手く書くためには、映像製作の知識が役に立つ。

 さて、これを踏まえたうえで今回は人物描写について触れたいと思います。

 人物を描写する時に、まず考えなければならないこと。それは、どこまでその人物を読者に植え付けるか? ということです。

 具体的に言えば、髪型、体型 (身長体重) 、服装、装飾品、誰かから見た印象… などがそれに当たります。勿論、 書き込めば書き込むほど、読者は人物を想像出来るでしょう。しかしあまりに多い人物描写は、 頭の中で映像化される段階で人物像の組み立て工数が大きくなりすぎてしまい、 かえって人物そのものがぼやけてしまうことが多いです。

 人物描写を行う上でもっとも重要な事は、人物の何をはっきりさせ、 どの部分を明確に切り捨てるか。この一点に尽きます。

 例えば、アクションシーン等では人物の動きや、殺陣ならばその流れなどを書かなければならないでしょう。そこで、 それこそジャラジャラとゆれるネックレスについて熱心に書く必要はありません。
 もっとも、ネックレスがどうにかなってしまうことで、物語が進むならそれでもいいのですが。

 さて、何を前面に出し、何を控えておくか。
 読書以外に学び知識をつけるとすれば。絵画や演劇の演出などが良いでしょう。 絵画と言っても漫画やイラストから学び取れるものは、やや極端なものになってしまう可能性もあります。

 また、心理学における認知に関する記述や、色相学もまた有用です。 また、巷に溢れるコミュニケーション関連のノウハウもまた役立つでしょう。

 人物描写に役立つであろう知識の、一例を示します。

(例)
 人は相手と喋っているとき、実は相手の話を三割程度しか理解していませんし、また文章を読む人間にしても、 その内容の五割程度しか正しくあるがままに読んでいません。現に接続詞 (~て/~に/~を/~は) を実際の文章とは違うように読み違えるのがその良い例です。

 この例を参照しただけでも、貴方が書く人物描写は劇的な変化をもたらすでしょう。ですが、 先に挙げたものについて深い理解を得ることで、より人物描写は貴方の望むものに変わってゆくはずです。

 今回は、ここまでです。次回三回目は、直接は描写と結びつかない知識にて必要と思われるものについてお話します。

(筆者からのお題)
 今回あった知識の一例を意識して、2000字以内 (原稿用紙五枚) で掌編を書いてみましょう。 今回は先にあったような風景描写は気にせずに、人物描写を意識して掌編を書き上げてみてください。書き終わった後に、 実際に声に出して読んで見ましょう。
 今まで書いていた作品と比べて、貴方の書く登場人物は、目に見えて生き生き (よくその姿が見て取れたり、 伝えたい部分が確実に伝わっている) としているように感じましたか? 

 また、できれば今までどおりの書き方で、全く同じ内容の掌編も書いて、二つの作品を比較してみましょう。何が違うでしょうか?